三月のライオン/矢崎仁司


記憶を失った兄と、そんな兄に恋人とうそをつく妹の物語。


新宿ケイズシネマにて。


鉄で錆びた川にかかる橋。工事現場の片隅にあり破壊音が響き続ける二人の住む廃墟。アイスボックスを抱えて街を歩く妹。少し今みると恥ずかしくなる位、アート臭がする決め打ちのようなカットの連続。90年代の匂いがプンプンする。


廃墟で暮らす二人には全く社会性というものが感じられなくて、これは一種のファンタジー映画なのだろうなあ。兄は記憶を失っているのだけれど、工事現場で仕事を始めて社会に溶け込んでいく。電話ボックスで売春相手を探している妹は兄の姿に徐々に自分が取り残されてるような疎外感を感じて不安になっていくのだった。二人のユートピアのような生活がゆっくりと壊れていく様子がとても切ない。


10年くらい前から見たかった映画。こういう映画って若い時にみるに限る。自分がまだ何者かわからない時分にみると一生思い出に残るようなタイプの作品だよなあ。つまらなくはなかったし人気があるのも分かる。ただ、やっぱり10年見るのが遅すぎたかも?