オバマ・ショック/越智道雄・町山智浩



 イーストウッドの映画からアメリカに興味が出てきたので、読んでみたのだけれど、オバマの事というよりは、アメリカの過去・未来みたいな話だったかな? またしても引用・抜粋で。

越智 “クレジット・クレージー”と言うんですね。九〇年代後半から、クレジット市場の債務が急激に上がる。二〇〇四年にはGDP(国内総生産)の三〇四%に達していて、これは、大恐慌時代の一九三三年の二八七%をはるかにしのいでいます。その後も状況はさらに悪化していて、二〇〇八年一月時点では三四〇%を超えたようです。


アメリカはクレジット社会だということ。

越智 基本的に言えることは、過去の「大国」、つまり覇権国家が辿った道を、いまのアメリカも辿りつつあるという見立てです。歴史にたくさん例があるんですけど、たとえば、スペインは最初に金を見つけてきた国だから、一四九二年にそれまでスペインを支配していたムーア人を追い出したあとは、何の努力もしないで初めから金融資本になってしまう。カネはあるんだから、よそでつくったモノを買えばいいということで、そうやっているうちに、せっせとモノをつくって売っていたオランダに凌駕されてしまう。モノをつくっていると労働倫理が国民精神のバックボーンになるので、国家としても強くなるのです。

 富を蓄積するとモノを作らなくなり衰退する過去の覇権国家をアメリカがなぞっているという指摘。

越智 製造業が激減すると、残る職業の大半は情報・サービス産業ですね。“情報部門”は弁護士、技術者、大学や研究所の知識産業担当者、メディア関連その他おおむね専門職で、高学歴が不可欠になる。


 地域間の格差が圧倒的に広がるということ。

越智 ローマ帝国が衰退し、四分五裂していったときにどうやって生き延びたかというと、結局、芸術・文化で生き延びたわけです。その資産を発展させたルネッサンスで磨かれたイタリア、という文化的価値を周りに評価してもらうことによって、しのいできたんですね。<中略>

政治力や経済力は、衰えると廃墟しか残らない。しかし、廃墟には文化が残る。つまり、文化のほうがうんと寿命が長い。<中略>

これから落ちぶれていくアメリカが、アテナイルネッサンス・イタリアのような生き延び方ができるかどうか。

越智 文化というのは、最初はどんなものでも新しい形して出てくるんだけれども、古典化されたものには、初めから時代を超えて生き延びられる要素がすでにデザインの中に入っていたと思いませんか。それはおそらく、芸術を永遠とつなげたいという衝動があって、その衝動がタイムレスな要素をデザインの中に呼び込んだのではないか。じゃあ、アメリカのポップカルチャーの中に、永遠性を志向するという側面はどのくらい入っているんだろうか。


 アメリカの文化について。

町山 実際、ハリウッドは産業の規模としてはゲーム業界を下回ります。あと、インドの映画産業よりも小さい。


 ハリウッドで動くお金は三兆円程度といわれてるらしい。

町山 ドイツでは、自国で撮影されたハリウッド映画に投資すると免税になるんです。あるいは、イギリス人の俳優が主演する作品が多くなっているのも同様の理由で、イギリスでは、自国の俳優が出ている映画に投資するとやはり免税になる。つまりそっちのほうが資金を集めやすいというだけの理由で、ハリウッドの“国外流出”が加速しているわけです。


 グローバルというののひとつの理由。

越智 「過去がない」というのは、オバマの場合、先祖に奴隷経験がないという意味です。

町山 黒人の政治家に対するアメリカ人――というか白人の恐怖感は、「復讐されるんじゃないか」という心理が背景にあるでしょう。でも、オバマには奴隷経験という「過去」がないから、復讐を心配しなくてもいいということでしょうか?


 オバマが支持されたひとつの理由。