A Journey To Surrey Quays

Half the truth and half the lie

 崖の上のポニョ/宮崎駿


今更ながら見た。話のつじつまがあってないとか、ファンタジー過ぎるとか、気持ち悪いとか突っ込む人の気持ちもわかるし、指摘が的外れではないと思うけど、これ、そんな全てをうっちゃっていい映画だと思うのです。宮崎駿さんは凄い場所で戦ってる。


ハリウッドの連中が束になっても表現できないような海と嵐の荒々しい描写を一人の67歳のアニメーターがやってるという事実。


頭の上にライトを乗せてウロウロするポニョ、目を開けたらできあがっているハム入りのラーメン。このポニョが宗介の家に来るシーケンスを見て僕らの心に広がる温かいものを映画的幸福と呼ばないでなんて呼べばいいのだろう。


もう宮崎駿さんは、環境問題を語ったり、ストーリーを紡ぐ事すらを超えてしまった(もしくは戻った)場所にいったのかも。もしポニョが人間としての生を獲得するなら交換として何かを失わなければならなくて、宗介のお父さんが船の墓場を見つけるシーンは、ジブリ映画だから死ぬのは無いにしても、ストーリーを紡ぐ気があるなら、もう少し死の臭いがしてもいいのではないだろうか?


癒しの時代だからという事で、鬱々とした主人公が出てくる映画が多い中で、リサが海沿いの道を溌剌にかっとばすシーンを見て、何もいう事はないよなーと思った。


何十年後かにメルクマールとして語りなおされる作品なのでは。そんな気が凄くします。