ポニョはこうして生まれた。〜宮崎駿の思考過程〜


 ポニョがどうにも良かったので、メイキング(5巻セットで12時間の長さ)も借りてみたのだけれど、ジブリの世界観は宮崎駿の人間に対する深い洞察と豊富な知識量に裏打ちされているというのが良くわかる。


 ジブリの若いスタッフは、宮崎駿のある種の天才性やカリスマ性というものについていってる部分もあるのだろうけど、実はもっと別の部分――地味で厳しく単調な作業を誰よりもこなす圧倒的な仕事量についていってるのかもなあ。作品が出来るまでの道のりは気が遠くなるように長く困難で、それは宮崎駿も変わらず。「クリエーター」だとか「天才」だとか浮付いた言葉に意味があるわけではなく、もっと生々しい行為に意味がある気がする。ましてや、期せずして国民的作家になってしまった彼は評価を一人で受け止める事になるわけで。


 評判が悪かったので見てなかったハウルも合わせて見たのだけれど、確かにとっ散らかっている印象は強い。監督交代かなんかがあって、そのせいもあるかもしれないけど、結局、宮崎駿としては戦争とか人間と自然なんていうテーマに興味なくなったんじゃないかなあ。


 ドキュメンタリーを見てたら、この年でこれだけ仕事に打ち込めれるのか、と妙に元気になってきた。さり気なく語る言葉に深い生き様がある貴重な映像なので、ぜひ購入したいな。いくつになってもタフに野蛮にしぶとくいきたいもんです。