A Journey To Surrey Quays

Half the truth and half the lie

サマーフィルムにのって

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UNEXTにて、『サマーフィルムにのって』。映画を撮る女子高生監督の青春映画なのだけれど、ポップな小道具が映画内に散りばめられていて見ていて楽しくなる。青春や恋愛、タイムトラベルといった王道の展開で話が進んでいくのだが、何だか妙に流れにのっていかないので序盤、不思議に思いながら見ていた。

 

そういえば、以前、動画メディアについて詳しい明石ガクトさんの『動画2.0 VISUAL STORYTELLING』を読んだ。今の若者にとって、映像というのは情報密度の濃さが大事であると、この本には書いてあるのだけれど、確かにYouTubeに代表されるようなメディアはなるべく動画を短くして、言いよどみを削り、テンポを重視し、無駄を省いて動画の情報量をあげているわけで、映画などとは対極のメディアであるような気がする。

 

『サマーフィルムにのって』の映画の主人公のハダシは、未来人に「未来には映画館もないし動画などは本当に短くなっている。なんなら1分あれば長編映画なんだ」と伝えられる。ハダシはその話を聞いて複雑そうな表情を顔に浮かべる。

 

ラストシーンまで話が進み、いったいこの映画は何の映画なのだろうと思っていたのだけれど、未来から来た凛太郎に対して、決闘を挑み、愛の告白をするというシーンは、単純に愛の告白ではなくて、映画に対するメッセージに対してのものなんだろう。だとすると、恋愛、タイムトラベル、青春という単独で大きな物語を作れる題材をすべてすっとばした最後の展開が納得できるかなというふうに思った。変に湿っぽくなったり感情的にならず、軽めのラップをのせた主題歌にも好印象。

 

ハダシ役の伊藤万理華さん。演技してるのを初めてみたが、かなり魅力的。かっこ可愛いというか表情が豊かで飽きないし。作品全体をかなり押し上げていたと思う。