A Journey To Surrey Quays

Half the truth and half the lie


 七年半かけて自転車で世界一周した石田ゆうすけさんのトーク&スライドショーにいってきた。西荻窪にて。


 本の印象通りの関西の兄ちゃんみたいなノリ。講演に慣れてるからか旅から時間が経ったからなのか思ったよりも熱っぽくなく淡々と話す。ご自身もビールを飲みつつ軽く突っ込んだり笑い話もありながら進んでいった。

 
 以下箇条書きで。


・七年半の旅でかかったのは500万円。サラリーマン時代の貯金と途中からロンドンの新聞に書いた原稿料。

・見た遺跡でナンバーワンはティカル。この写真では(※スライドを指差しながら)伝わらないかも……。

・南米はペルーの強盗の件があったのでテンションが下がっていた。なのでブラジルにはいかなかった。

・元々グランドキャニオンに行きたくてコースを設定したけど、場所によっては見たらそうでもなかった。マチュピチュも思ったより全然小さかった。

・ペルーで強盗に殺されそうになった後アンデス山脈を自転車で越えた時は一瞬テンションがあがった。ただ、南米は正直トラウマを受けたままだった。

・自然が多い所で魚釣りをすると、すれてないから入れ食い。糸を垂らす前に空中に浮いてる竿に魚が自分から食いついてくる(一同笑い)。

・自分は無宗教だけれど、モニュメントバレーの聖なる場所でテントを張り、朝焼けと夕日が岩に反射している美しい景色を見ると信じたくもなる。

・自転車旅もキャンプも初めの1週間は辛い。その後から楽しくなってくる。

・自転車旅人には変な人が多い。初対面で4時間いきなり話をする人もいた(一同笑い)。自分が一番まともだと……自分では思っている。

・南米の最も南の地域パダゴニアは、ザ・地球という感じ。素晴らしい景色が広がっている。地面と空しかない。

・チリでウォークマンを買ってクラシックを聞きながら走った。ポップスでもロックでもしょぼく感じてしまう。クラシックだと合う。

・女性で世界一周するのはかなりリスキー。自分が知ってる範囲だと聞いた事がない。最高で1万キロ位走った方はいる。自分の彼女には薦めたくない。

・世界で一番旨いビールはアイルランドのギネスビール。日本で飲むのと味が違う。

 
 最後に、ちょっと真面目な話になって、自転車旅行というのは、自分にとっては、あくまでも遊びであって、自分探しの旅とは、ちょっと違う、と。ペルーであんな目にあって(拳銃を突きつけられて身ぐるみ剥がされた)、途中でやめようと思ったけどやめなかったのは、今思うと良かった。運命というのが昔はあるような気がしていてレールの上に乗ったらずっとレールの上のままだと思っていたけれど、その運命というのも幾つかあり、そこを自分で選べるのではないか? ただ、今になってたまに思う事であって、毎日が充実してるのであまり考えることもない。


 「もし、もう一度世界一周旅行ができるとしたら?」との質問に、しばらく熟考した後に、「今は文章を雑誌に書いたりするのが楽しいから*1、今はもうしたくないかな」と、その辺りの受け答えにも好感を持ちました。

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 個人的に、自転車旅行なんていうとロマンチックな自分探しの旅みたいに考える人が多いと思うのだけれど自分はそういう考え方が、あまり好きではなかったりする。某有名旅人が自己啓発的な発言を著作でしてて多くの若者を心酔させてるみたいだけれど、あれはどうかなーと思ってたりするので自己啓発的ではなく、適度に現実的でロマンがある石田さんはやっぱり良いなあ。事実をありのままに話していて実際に体験してる人の言葉には重みがある。


 サインを貰おうと実は本を持っていってたのだけれど、全4回のうちの1回(今回はアメリカ大陸編)という事なので、次回貰うことに。また行きます。

*1:アウトドア雑誌等で今はライターをされている